相続税の税率と計算方法を徹底解説!

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相続税の税率と計算方法を徹底解説!

自分の相続税の税率はどれくらい?相続税計算式と流れを解説!

本文
故人の財産を相続した時に気になるのは、相続税の金額ではないでしょうか。相続税とは引き継いだ財産に対して課される税金のことですが、特に故人が多くの財産を遺した場合は相続税も高額になりがちです。
「相続税はいくらになるのか」と気になっているのであれば、自分で計算をしてみましょう。

相続の内容によっては複雑すぎて専門家に任せなければならないケースもありますが、やり方を覚えてしまえば自力で計算可能です。相続税を自分で計算することで、おおよその金額を把握できるでしょう。本記事では、相続税の計算の流れから具体例を挙げた計算方法、さらに計算する際の注意点まで分かりやすく説明します。

相続税計算の全体の流れを知ろう

相続税は、遺産の中でも課税対象となるものから基礎控除額を差し引いた金額に課されます。相続税の計算はいくつかの段階を踏んで行いますが、大きく分けて以下の4ステップで計算していきます。

ステップ1:課税価格を算出する
ステップ2:基礎控除額を計算し課税価格から差し引く
ステップ3:各相続人の法定相続分と相続税の総額を算出する
ステップ4:各相続人が支払う相続税を算出する

各ステップについて、詳しく見てみましょう。

ステップ1:課税価格を算出する

相続税を計算するには、最初に課税対象となる財産の価格(課税価格)を明らかにする必要があります。課税価格は「加算項目-減算項目」で求められます。

主な加算項目と減算項目について下表にまとめました。
加算項目
減算項目

・本来の「相続財産」(土地や現金など)
・相続開始前3年以内(改正後7年)の「生前贈与」
・「みなし相続財産」(死亡退職金など)
・「相続時精算課税制度」による贈与
・非課税財産(生命保険の非課税分など)
・債務(住宅ローンなど)
・葬儀費用

課税価格の計算は、各相続人(法定相続人)が引き継いだ財産に対して実施します。例えば、故人の配偶者が6,000万円の自宅を相続した場合、住宅ローンがゼロであれば、6,000万円が課税価格です。もし住宅ローンが1,000万円残っている場合は、6,000万円から住宅ローンを差し引きます。

6,000万円-1,000万円=5,000万円

ステップ2:基礎控除額を計算し課税価格から差し引く

基礎控除とは簡単に言うと非課税枠のことで、計算式は以下のとおりです。

「3,000万円」+「600万円×法定相続人の数」

相続において課税価格が基礎控除額以下の場合は、税金が免除されます。
例えば、相続人が2人の場合の基礎控除額は、4,200万円です。

3,000万円+1,200万円=4,200万円

もし、課税価格の合計が2,500万円である場合は相続税がかかりませんが、8,000万円の場合は、以下のように基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出します。

8,000万円-4,200万円=3,800万円

ステップ3:各相続人の法定相続分と相続税の総額を算出する

法定相続分とは民法で定められている財産の取り分のことで、以下のように定められています。
法定相続人
法定相続分

配偶者
1

第1順位
配偶者
1/2

子
1/2

第2順位
配偶者
2/3

父母/祖父母
1/3

第3順位
配偶者
3/4

兄弟姉妹/甥・姪
1/4

各相続人の相続税を計算する前に、法定相続分をそれぞれ計算します。その次に、「法定相続分×相続税率」の計算式を用いてそれぞれの税額を算出しましょう。なお、該当する相続税率は、国税庁が公開している「相続税の速算表」で確認できます。算出された税額を合計したものが、相続税の総額です。

出典:『No.4155 相続税の税率』(国税庁)

ステップ4:各相続人が支払う相続税を算出する

各相続人の納付税額は、以下の手順で計算します。
①「課税価格÷課税価格の合計」から各相続人の取得割合を出す
②「相続税総額×取得割合」から相続税額を出す
③「控除」または「加算」を適用して各相続人の納付税額を計算する

主な控除と加算の種類について、下表にまとめましたのでご参考としてください。
控除
加算

・配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)
・暦年課税分の贈与税額控除
・相次相続控除
・相続時精算課税分の贈与税額控除
・未成年者・障害者控除
・相続税の2割加算

「相続税の2割加算」とは、下記の続柄以外の人が相続する場合に適用される計算式のことです。
・配偶者
・一親等の血族(子や父母など)
・養子縁組をした子(代襲相続人でない孫養子は2割加算の対象)
・代襲相続人となった孫

上記以外の相続人(遺言書によって相続人となった第三者も含む)は、通常計算された相続税額に20%が加算されます。

例:100万円(相続税額)+(100万円×20%)=120万円

相続税の計算方法と税率

前章でご紹介した相続税の計算の流れを基に、設例にそって算出してみましょう。

◯設例:
・故人の財産:自宅5,000万円、土地4,300万円、生命保険2,000万円、株式1,000万円、現金2,000万円
・相続人:配偶者(A子)、子供(B雄、C美、D也)
・住宅ローン:0円
・葬儀代:300万円
・葬儀代負担者:B雄
・生命保険金の非課税限度額:500万円×4人=2,000万円

【計算事例】ステップ1:課税価格を算出する

相続人は、以下のようにそれぞれの財産を引き継ぎました。
・A子:自宅5,000万円
・B雄:土地4,300万円
・C美:現金2,000万円
・D也:生命保険2,000万円、株式1,000万円

減算項目を差し引くと、以下のように各相続人の課税価格が算出されます。
・A子:5,000万円-0円=5,000万円
・B雄:4,300万円-300万円=4,000万円
・C美:2,000万円
・D也:3,000万円-2,000万円=1,000万円

課税価格の合計は、1億2,000万円です。

【計算事例】ステップ2:基礎控除額を計算し課税価格から差し引く

故人の財産を引き継ぐ人は、配偶者と子のあわせて4人。
この場合の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円です。

課税価格が基礎控除額を上回るため、課税遺産総額を算出する必要があります。

1億2,000万円-5,400万円=6,600万円

このケースにおける課税遺産総額は、6,600万円です。

【計算事例】ステップ3:各相続人の法定相続分と相続税の総額を算出する

法定相続分は配偶者が1/2で、子は残りの1/2を3等分します。
・A子:3,300万円
・B雄:1,100万円
・C美:1,100万円
・D也:1,100万円

法定相続分をそれぞれ算出したら、相続税の速算表を参考に各相続人の相続税を計算します。
・A子:3,300万円×15%-50万円=445万円
・B雄:1,100万円×15%-50万円=115万円
・C美:1,100万円×15%-50万円=115万円
・D也:1,100万円×15%-50万円=115万円

相続税の合計は、790万円です。

【計算事例】ステップ4:各相続人が支払う相続税を算出する

最初に取得割合を算出しましょう。各相続人の取得割合は以下のとおりです。
・A子:5,000万円÷1億2,000万円=0.4
・B雄:4,000万円÷1億2,000万円=0.3
・C美:2,000万円÷1億2,000万円=0.2
・D也:1,000万円÷1億2,000万円=0.1
※分かりやすいように、小数点以下第2位未満の端数を調整しています。

誰も税額控除を利用していないため、取得割合を相続税総額にかけて導き出された数字が、各相続人が納める相続税です。
・A子:790万円×0.4=316万円
・B雄:790万円×0.3=237万円
・C美:790万円×0.2=158万円
・D也:790万円×0.1=79万円

設例をもとにした相続税の計算は、以上です。

自分で計算するときの注意点

相続税は、やり方さえ覚えれば自分で計算し具体的な数字を出すことも可能です。ただし、相続する財産の種類や引き継ぎ方などによって自分で計算するには複雑すぎるケースもあります。また、相続に関する知識が浅く、考慮すべき点を無視して計算してしまうことも考えられるでしょう。相続税の計算における注意点を以下にご紹介します。

相続税対策を考えるときの注意点

相続税が高額になると予想される場合は、節税対策をしてできるだけ税金を減らしたいと考える人も多いのではないでしょうか。節税を考えるのなら、税理士などの専門家に相談するのが無難です。なぜなら、相続税を減らす方法は複数あり、自分に合ったものを見極めることが難しいからです。さらに、特定の節税対策を選択したとしても、それに伴う税金の計算が新たに加わり負担がかかります。

暦年課税制度は、よく知られている相続税対策の一つです。この制度は、子や孫に対して親または祖父母が贈与した財産総額を年間110万円以下まで非課税としています。贈与対象が18歳以上の場合、年間110万円を超えても贈与税が軽減されるため、節税に適している制度と言えるでしょう。ただし、年間110万円以上の贈与を行えば、特例税率を用いた計算をしなければなりません。

また、暦年課税制度には、贈与した人が贈与してから3年以内(2024年1月1日からは7年以内)に亡くなった場合は、贈与分を相続財産に加算するという決まりがあります。暦年課税制度が相続税対策として適当でなければ、他の節税方法を探す必要が出てきますが、
・どの方法を選べばよいのか
・その方法を選んだ場合、どの程度の節税が期待できるか
・その方法を選ぶと、どのようなデメリットが発生するか
といったことについて、専門家からのアドバイスを受けたくなるでしょう。

土地評価の問題

土地が絡む相続の場合、「土地の評価を適切に行う」という課題が生じます。自分で相続税を計算する場合は、土地を評価することがネックとなるでしょう。なぜなら、土地を正確に評価するには専門的な知識が必要になるからです。

土地の評価の計算は、路面方式または倍率方式を用いられますが、どちらも必要な情報を手に入れれば誰でも計算できます。例えば路線価方式で土地の評価額を計算するには、固定資産税の納税通知書や路線価図、登記事項証明書(登記簿謄本)などを用いて土地の面積や持分割合、路線価を調べ、各要素を掛け算して算出します。

ただし、土地の相続税評価額はこれらの方式で計算して終わりではなく、土地の形状や立地条件、利用方法などの減額要素を考慮したうえで、各種補正率を適用して減額し最終的な評価額とするケースも少なくありません。減額要素をどのように考慮するのかが難しく、税理士の間でも減額要素の判断が異なることもあるほどです。このように、計算が複雑な土地の評価においては、専門知識がない限り自分で正確に計算することは難しいといえるでしょう。

各種税制特例の利用可否の問題

相続のケースによっては各種税制特例が適用されて、相続税の減額が期待できます。ただし、特例を適用すべきかどうかの判断が難しい場合もあります。

例えば、「配偶者の税額軽減」は、配偶者に対して1億6,000万円までの相続に対して税金を免除するというものです。また、二次相続を含めて考えた時に、子の負担を軽減するために特例を使わず財産を分散する方法がよいとの結論に達するかもしれません。こうした判断は慎重に行うべきであり、税理士など専門家のアドバイスを参考にするのが無難でしょう。

税務調査対応の問題

税務調査とは、税務署員が申告された相続税の正確性を調べることです。税務調査は全てのケースに対して行われるわけではありませんが、被相続人の家族名の金融資産が多い方や医師、弁護士、会社経営者などの特定の職業の相続税申告で実施される確率が高いといわれています。相続税の計算は複雑であるため、専門家ではない人が計算した場合、正確性が疑われやすいというのが理由の一つです。

税務調査が行われると、税務署員の質問に全て答える必要がありますし、持っている財産について全て明らかにしなくてはなりません。もし計算ミスがあった場合は、たとえ故意でなかったとしても申告漏れとみなされて追徴課税が発生することがあります。相続税が高額になる可能性がありかつ複雑である場合は、税理士に任せた方が安心です。

相続税や相続手続きのご相談は信託相続先生へ

相続税を自分で計算する場合のやり方について、ステップ形式で説明しました。
ご紹介した計算方法は、以下の4ステップです。

ステップ1:課税価格を算出する
ステップ2:基礎控除額を計算し課税価格から差し引く
ステップ3:各相続人の法定相続分と相続税の総額を算出する
ステップ4:各相続人が支払う相続税を算出する

「他人に頼ることなく自力で計算したい」「とりあえず相続税がどのくらいになるのか知りたい」という場合は、計算してみましょう。数字を把握することで相続税について理解が深まるとともに、今後を見据えた対応を考えやすくなるでしょう。

もしも途中で計算に行き詰まってしまったり、正確性に自信が持てなかったりする場合は、迷わず税理士に相談することをおすすめします。もしくは、弊社にお気軽にお問い合わせください。弊社では、その道に詳しい専門家(相続税法の試験合格した税理士)が、相続税に関するご相談に対応しています。ご相談内容を伺い、個人の事情に合わせた最適なアドバイスを提案いたします。

税理士 粕谷幸男

粕谷幸男

一般のご家庭から医師や会社経営者まで、相続や事業承継のお悩みを、豊富な経験と知識を踏まえ「当事者目線」で親身に対応致します。

専門分野・得意分野
相続、事業承継、信託財産管理会計、税務
資格
  • 税理士(法人登録番号:1700、税理士登録番号:30268)
所属団体名
東京税理士会
所属事務所
KASUYA税理士法人
所属事務所の所在地
東京都世田谷区用賀

活動実績・専門分野

個人事業主、小規模零細事業から医師、大規模賃貸オーナーに至るまで、幅広く顧問先を抱える税理士法人代表。企業等顧問だけでなく、信託、非営利法人等の税務会計を大学講師として教鞭を執りました。個人、法人、株主等のライフサイクルに関する財産・税務のシュミレーションソフトを使用して、ご提案しています。信託財産管理会計及び税務にも精通し、家族信託や相続税事案も数多く取り扱っています。

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私たちは、司法書士と税理士を中心とする、相続や家族信託のプロフェッショナルです。「何をすればいいか分からない」といった段階からご相談頂けますので、お気軽にご相談下さい。

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