相続とは?専門家がわかりやすく簡単に説明致します!
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相続とは?専門家がわかりやすく簡単に説明致します!
相続とは。わかりやすく簡単に解説!
相続とは簡単に言うと、亡くなった人が遺した財産を身内など特定の人が引き継ぐことです。
言葉の意味はなんとなくわかるものの、実際に相続する時に「専門用語がたくさん出てきてよくわからない」「何から手を付けたらいいのかわからない」など、戸惑うことも多いでしょう。
将来相続が発生することが予想されるのであれば、事前に相続の概要や必要な知識をある程度身につけておくことが大切です。
そこで本記事では、相続が発生する前に知っておくべきことについてわかりやすくそして簡単に説明します。
相続の基礎知識を知ろう!
相続には、日ごろ耳にしないような専門用語や特定のルールがあります。
特に知っておきたいのは、以下の5点です。
・法定相続人と法定相続分とは
・遺留分とは
・遺産分割とは
・民法上と税法上の相続財産の範囲の違い
・遺言や家族信託がある場合の相続
それぞれ詳しく見てみましょう。
法定相続人と法定相続分とは
相続では、亡くなった人のことを「被相続人」、被相続人の遺産を引き継ぐ人のことを「相続人」と呼んでいます。「法定相続人」という表現もありますが、これは民法が定めている相続人のことです。さらに民法では、法定相続人が引き継ぐ遺産の取り分も規定しているのですが、これを「法定相続分」と言います。
法定相続人
法定相続人となる人は、配偶者と血族(法定血族を含む。法定血族とは、養子と養親のように、法律上血族とみなされる関係です)で、配偶者は常に相続人となるのですが、血族については、相続の順位があり、先順位の相続人が存在しないか、全員が相続放棄をした場合にのみ、次の順位の人が相続人となります。
・第1順位(直系卑属):子、代襲相続人
・第2順位(直系尊属):父母、祖父母
・第3順位(傍系血族):兄弟姉妹、代襲相続人
代襲相続人とは、代襲相続する人を指し、代襲相続とは、被相続人の死亡時点において、既に死亡していた相続人がいた場合に、その相続人の地位を取得することを指します。
代襲相続人となり得るのは、被相続人の孫、ひ孫といった直系卑属か、被相続人の甥姪です。代襲相続人が複数いる場合には、全員が相続人となります。
法定相続分
法定相続分は、次の図表の通りです。
法定相続人
法定相続分
第一順位
配偶者
2分の1
子又は代襲相続人
2分の1
第二順位
配偶者
3分の2
親又は祖父母
3分の1
第三順位
配偶者
4分の3
兄弟姉妹又は甥姪
4分の1
事例で見てみましょう。下記図を基に、幾つかの事例と結果を記載します。
事例
法定相続人
法定相続分
父が被相続人の場合
母
2分の1
長男と長女
各4分の1
父が被相続人の場合で、既に長男は亡くなっていた場合
母
2分の1
長女
4分の1
孫Aと孫B(代襲相続人)
各8分の1
長女が被相続人の場合
父
2分の1
母
2分の1
長女が被相続人の場合で、父と母が既に死亡していて、
かつ、長男も死亡していた場合
孫Aと孫B(代襲相続人)
各2分の1
法定相続分に縛られる必要はない
法定相続分は、あくまでも遺産を分割する目安です。民法で定められているからといって、必ず法定相続分にそって遺産を分けなければならないという決まりはありません。極端には、遺産分割協議によって、相続の一人が全財産を取得しても、相続人全員の有効な合意に基づくものであれば、何ら問題はございません。
遺留分とは
遺留分とはわかりやすくいうと、法定相続人が遺産を引き継ぐことのできる最低限の取り分のことです。例えば遺言書に、「配偶者の取り分はゼロ」「遺産の全ては長男が引き継ぐ」と書いてあった場合は、法定相続人の中で財産を受け取れない人が出てしまいます。こうした不公平な状況を避けるために、民法では法定相続人が遺留分を請求できるように定めています。
遺留分は、兄弟姉妹を除く相続人に認められていて、その割合は、直系尊属(親、祖父母)のみが法定相続人である場合には、法定相続分×3分の1で、それ以外は、法定相続分×2分の1となります。
例えば、被相続人の遺産総額1億円に対する配偶者と子供2人の法定相続分と遺留分は、それぞれ以下のようになります。
◯法定相続分
・配偶者(1/2):5,000万円
・子(1/2):2,500万円ずつ
◯遺留分
・配偶者(1/4):2,500万円
・子(1/8):1,250万円ずつ
遺産分割とは
遺産分割とは、相続人全員の話し合いにより、相続財産について、誰が、何を、どれだけ取得するかを確定させることを指します。例えば、法定相続分通りに相続するとしても、遺産分割協議が成されなければ、相続財産は、相続人全員の法定相続分での共有状態となります。法定相続分で相続するとしても、遺産分割協議は必要となります。
なお、次のような場合には、遺産分割協議が行えない等の問題が生じるため注意が必要です。
相続人の中に、判断能力が減退ないし喪失状態にある人がいる場合
連絡不能な方がいる場合
未成年者がいる場合
遺産分割協議は、遺言書を作成すること(内容にもよりますが)で、遺産相続手続きから省くことが出来ますので、上記のような問題がある又はその可能性がある場合には、ご遺族のためにも、必ず遺言書を作成してあげましょう。
民法上と税法上の相続財産の違い
遺産分割協議は、相続財産について行うものですが、その相続財産の範囲については、少々ややこしいところがございます。それが、民法上の相続財産と、相続税法上の相続財産の範囲は異なるということです。
遺産分割協議の対象となるのは、あくまで民法上の相続財産となります。例えば、受取人の指定された生命保険の死亡保険金は、民法上の相続財産とはならず、遺産分割協議の対象とはなりませんし、家族信託によって信託財産とされた財産についても同様です。ですが、いずれの財産も、相続税法上は相続財産となり、課税がされます。(生命保険は控除有)
遺言や家族信託がある場合の相続
一旦ここまでのお話を簡単にまとめますと、相続とは、被相続人の有していた財産を承継することで、相続できるひとは法定相続人として法定されていて、法定相続分という指標はあるものの、誰が、何を、どれだけ相続するかは、相続人全員による遺産分割協議で決定することとなります。
では、遺言や家族信託がされている場合の相続はどうなるかというのが、こちらのお話となります。
遺言がある場合には、その内容に従って相続することとなり、その内容によっては、遺産分割協議を行うことなく、相続手続きを進めていくことが可能です。
遺言書は、自身の意思に沿った遺産の取得をさせることが出来るという遺言者側としてのメリットがありますが、相続人側としても、遺産相続手続きにおいて最も面倒でストレスとの掛かる、遺産分割協議を省略することができるという点で、非常に大きなメリットがあります。
また、夫婦において、相続が発生するときというのは、一般的には、夫婦ともに高齢になられていることが多く、そうなると、相続発生時点において、残された配偶者に、認知症等判断能力の問題が生じている可能性がございます。判断能力に問題があると、その程度によっては、遺産分割協議そのものが行えなくなってしまうため、こうした観点からも、遺言により遺産分割協議を省略するメリットがございます。他にも、相続人に未成年者がいる場合や、連絡不能の相続人がいる場合等でも、遺産分割協議は問題となるため、予め遺言により省いてあげると、相続人としては非常に助かります。
家族信託についても同様で、家族信託も遺言と同様の機能を持たせることが可能であることから、遺言と同様に遺産分割協議を省くことができます。
ここまでが、相続の基礎知識の解説となりますが、如何でしたでしょうか。遺言や家族信託を行ってあげることは、ご家族のためにとても大切なことですので、ここまでの相続の基礎知識を参考に、相続についてお考えいただければと思います。
さて、次の章からは、相続税に関する基礎知識です。相続について考えるに当たって、必須となるところですので、こちらも、「わかりやすく、簡単に」をテーマに解説させて頂きます。
それでは、見ていきましょう。
相続税の申告が必要でも、相続税の支払いが必要とは限らない
相続税の申告は、原則として相続税が発生したときです。けれども、相続税の支払いが必要でない場合も申告が必要なときがあります。
相続税の申告が必要なときとは
①相続税課税財産総額が基礎控除額を上回るとき
「相続税課税財産総額」とは簡単に言うと、葬儀代などを差し引いたあとに残る、相続税の対象となる財産総額のことです。相続税には「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で算出される基礎控除額が設定されていて、相続税課税財産総額から基礎控除額を差し引いた課税財産額に、相続税がかかります。
例えば、課税対象となる遺産が5,000万円あり、それを配偶者と子1人で分割する場合の基礎控除額は4,200万円。5,000万円から基礎控除額を差し引いた差額の800万円に相続税がかかります。
5,000万円(課税価格)-4,200万円(基礎控除額)=800万円
②小規模宅地特例や配偶者控除を使用するとき
小規模宅地特例とは故人が所有している宅地に対して、相続時に最大80%の控除が受けられる制度です。例えば、故人が住んでいた自宅(評価額4,000万円、220㎡)を相続する場合、以下の算式で控除額を計算します。
・計算式:宅地の評価額×(限度面積×減額割合)※
※限度面積と減額割合についてはこちらを参照。
・控除額の計算:4,000万円×220㎡/220㎡×80%=3,200万円
・評価額の計算:4,000万円-3,200万円=800万円
配偶者控除とは、配偶者が受け取る財産に対して適用される控除のことです。控除額は、1億6,000万円または法定相続分のどちらか高い方を選択します。例えば、夫が2億円の財産を遺して亡くなり相続人が妻のみという場合の法定相続分は1(2億円)となり、引き継いだ2億円の財産に対する相続税はゼロ円です。
小規模宅地特例と配偶者控除の要件には、相続税の申告が必要です。
③相続時精算課税適用財産に納めた贈与税の還付を受けたいとき
相続時精算課税制度とは、贈与された財産の相続税を払う時に加算して計算する制度のことです。相続時精算課税制度を利用すると、贈与された財産には2,500万円(特別控除額9+110万円(基礎控除額)まで贈与税がかからず、相続時に相続財産に加算されます。
贈与された財産が控除額を超えた場合は、その課税価格に贈与税がかかります。相続時精算課税制度で贈与税を納めた場合、相続時にかかる相続税から納めた贈与税を差し引きます。の差額分です。この時に控除しきれない金額が生じた場合、還付を受けられます。例えば、Aさん父から生前に3,000万円の不動産を贈与されたとします。その場合、控除額を引いた390万円に贈与税がかかります。
(3,000万円-2,610万円)×20%=78万円
父が亡くなり相続税の納税額は50万円と計算されました。Aさんは税金を払いすぎたことになり、28万円という「控除しきれない金額」が生じます。この28万円が、Aさんが受け取れる還付金です。還付金の手続きをする際に相続税申告書が必要となるため、還付を受けるため申告をします。
相続税の支払いが必要になるときとは
上記のケースの中で相続税を申告して支払いが必要となるのは、①です。基礎控除を上回った分に相続税がかかりますので、申告と納税の両方を済ませます。たとえ相続税がゼロ円でも申告書を作成しなければならないのが、②です。③は、納めた贈与税が相続税を上回るため②と同じように「相続税は支払わないが、申告書は作成する」部類に入ります。
簡単まとめ
相続税の申告には、
・申告と納税の両方が必要
・納税の必要はないが申告は必要
の2パターンがあります。
相続税の申告においては、「税金が発生しない=申告しなくていい」ではない点に留意しましょう。
相続の備えとは。わかりやすく簡単に解説!
いつかは訪れる相続の日に備えて、今からできることにはどのようなものがあるのでしょうか。
わかりやすくするために、
・遺産分割の備え
・相続税の対策
・納税など資金の備え
の3つに分けて説明します。
遺産分割の備え
遺産分割対策(争族対策)は、争族に発展することを回避し円満な相続をするうえで非常に重要な役割を担っています。遺産分割において課題となりそうなことはできるだけ避けるためにも、生前のうちに準備をしておきましょう。
相続財産や相続人の状況や生活を考慮した遺産分割に備えるために
・全ての相続人の把握ができない
・引き継いでも困る不動産がある
・相続人の中に未成年や精神障害を抱えている人がいる
などです。
これらの課題を解決するには、
・相続人と考えられる人を全て書き出し住所や連絡先を整理しておく(被相続人の生まれるまでの戸籍を取得)
・財産を分けやすいように整理する
・未成年者や精神障害の相続人がいる場合は、成年後継人や不在者財産管理人の選任に必要な情報や費用を準備しておく
などが考えられます。
できることから、少しずつ遺産分割対策を進めていきましょう。遺産分割について考えがまとまっているのであれば、遺言書を作成するのも一つの手段です。
相続税の対策
相続税対策としてすぐにでも可能で、シンプルな方法として挙げられるのが、暦年課税制度の利用です。暦年課税制度とは、年間110万円以下の財産は非課税となる制度のことです。相続時精算課税制度と比べると控除される額は低いと感じるかもしれませんが、時間をかければかけるほど節税できる額は大きくなります。また、この非課税枠は贈与する人1人につき年間110万円となるため、贈与する子や孫が多い場合も節税効果を感じられるでしょう。注意点としては、贈与者が亡くなる前の7年以内の贈与分は、相続財産として相続税の計算に加算される点です。
納税等資金の備え
納税資金とは簡単に言うと、相続税を支払うための資金のことです。相続税は原則として現金で納めます。高額の遺産を相続する可能性が高い場合は、生前から準備をするのが望ましいでしょう。
相続税には、非課税枠が設けられているものがあります。非課税とされた分を納税資金にすることで、相続税対策につなげることが可能です。例えば、生命保険には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。非課税枠内でおさまるような生命保険に加入すれば、税金を差し引かれることなくお金を遺せるでしょう。
生命保険の非課税枠は、500万円以上になるため、まとまったお金を納税資金として確保するのに適しています。ただし、生命保険の非課税枠を利用するには、被相続人が自分で保険料を支払っていることと、受取人が相続人であることが前提です。
生前に準備しておきたい資金として忘れられがちなのが、葬儀代です。葬儀は亡くなってすぐに行われるうえ、まとまったお金が必要です。費用を抑えた葬儀方法を探すのもよいですが、葬儀保険や積立てといったサービスを利用するなどして資金を確保することが大切です。
相続だけでなく、財産活用や認知症等のことも考えよう
生前にしておきたいことは、相続だけではありません。認知症等による資産凍結の対策や、財産の活用についても考えておいてあげることが、ご自身にとっても、子世代、孫世代とその先の世代にとっても大切です。
認知症等による資産凍結リスク
認知症や事故、病気等で判断能力が減退すると、預金を引き出せない等、資産凍結のリスクが生じます。相続対策どころではない、日常生活に支障が生じ得る問題ですので、相続対策も重要ですが、資産凍結の対策についても考えておきましょう。対策としては、家族信託という仕組みが有用ですので、家族信託についてもお調べされると良いでしょう。
財産活用について
相続税対策と財産活用は密接な関係があります。分かり易い例を挙げますと、老朽化した賃貸アパートを建て替えることや、介護付有料老人ホーム入居に伴い空家となった自宅をリフォーム工事して賃貸に出す等です。
前者のケースでは、相続発生後に建替えると、相続税対策にはなりませんが、相続発生前に建替えることで、相続税の課税遺産総額を圧縮することが可能です。後者につきましては、相続人であるお子様かその配偶者様が既にご自宅をお持ちである等、居住用不動産の小規模宅地特例が使えない場合に、賃貸物件とすることで、貸付地としての評価減と、小規模宅地特例の使用が可能になることがあります。
相続について考える際には、相続税対策のみに目がいきがちですが、財産活用という観点から考えることで、それが相続税対策にもなることがありますので、いずれの観点からも考えるよう良いでしょう。
相続、家族信託、財産活用のご相談は信託相続先生へ
相続のことを中心に、派生することも簡単に説明させて頂きました。
相続は、次の世代だけでなく、その先の世代に至るまで影響するとても大きな事象です。相続について考えるときは、相続税対策だけでなく、財産の活用や、ご自身及び配偶者様の生涯の生活保障も考える必要があり、多角的な視点が必要となります。
信託相続先生では、ご本人様と配偶者様の生活保障、円滑・円満な財産承継、財産活用、相続税対策と、4つの観点からの総合的対策提案を得意としております。初回は無料でご相談対応を承っておりますので、是非お気軽にお問合せ下さい。