代襲相続とは?専門家がわかりやすく簡単に解説!

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代襲相続とは?専門家がわかりやすく簡単に解説!

代襲相続とは。わかりやすく簡単に解説致します。

相続の中には、遺産を引き継ぐ人がすでに亡くなっていて、その子供が親の代わりに遺産を引き継ぐケースがあります。このように、相続人の下の代が財産を引き継ぐことを代襲相続といいます。例えば祖父が亡くなり、その遺産を引き継ぐことになった父はすでに他界していた場合、孫が相続人となって遺産を受け取るケースが該当します。代襲相続には、孫だけでなく甥・姪が引き継ぐケースも該当するうえ、しばしば数次相続と混同されやすく、「簡単に知ることができたら」と考えている人も多いでしょう。
そこで本記事では、代襲相続人の意味や手続きにとともに、数次相続との違いについてもわかりやすく解説します。

代襲相続人と相続分

「誰が代襲相続人(代襲者)になるのだろう」「代襲者の相続分はどのくらい?」「遺産の分割は簡単にできるのだろうか」など、代襲相続に関する疑問は尽きないでしょう。代襲相続の基本情報を整理して、わかりやすくご紹介します。

代襲相続の要件

代襲者には、以下の人が該当します。
①被相続人よりも先に亡くなった、被相続人の子の孫
②被相続人よりも先に亡くなった、被相続人の兄弟姉妹の子(甥・姪)

仮に孫も亡くなっている場合は、孫の子(ひ孫)が遺産を引き継ぎます。これを再代襲といいますが、②では再代襲はされず、甥と姪で終わります。

代襲相続する人の法定相続分

法定相続分とは法定相続人に分配される遺産の割合のことで、民法で決められています。
代襲者の法定相続分は、上の代のそれと同じです。わかりやすい例えで言いますと、故人が遺した財産の1/4を子が引き継ぐ予定だった場合、代襲者も1/4を相続します。もし代襲者が複数いる場合は、1/4をさらに人数で分けます。
設例で考えてみましょう。 次の図表をご覧ください。

この場合、被相続人を父とする相続につき、法定相続人は、母、亡長男代襲相続人である孫Aと孫B、長女の4名となります。法定相続分は次の通りです。
・母(8分の4)):5,000万円
・孫A(8分の1):1,250万円
・孫B(8分の1):1,250万円
・長女(4分の1):2,500万円

なお、仮に、亡長男が存命であった場合には、母、長男、長女が法定相続人で、法定相続分は次の通りとなっていました。
・母(8分の4)):5,000万円
・長男(4分の1):2,500万円
・長女(4分の1):2,500万円

今度は、甥と姪が代襲者として遺産を引き継いだ場合を設例で考えてみましょう。
次の図表をご覧ください。

被相続人である妹が亡くなった時、既に兄は他界しているので、法定相続人は、妻と、亡兄代襲相続人である甥と姪になります。法定相続分は次の通りです。
・妻G(3/4):6,000万円
・甥I(1/8):1,000万円
・姪J(1/8):1,000万円

なお、仮に兄が存命であった場合には、妻と兄が法定相続人となり、法定相続分は次の通りとなります。
・妻G(3/4):6,000万円
・兄H(1/4):2,000万円

代襲相続合の遺留分割合

遺留分とは、法的に保障されている最低限得ることのできる財産の取り分のことです。

遺留分が認められるのは、
・配偶者
・父母または祖父母
・子
のみで、兄弟姉妹は含まれていません。また、代襲者のうち遺留分を請求できるのは孫やひ孫で、甥や姪が遺留分を請求することはできない点にも注意しましょう。

個別の相続人の遺留分割合は次の計算式によります。
〇直系尊属(親、祖父母)のみが法定相続人である場合:法定相続分×3分の1
〇上記以外:法定相続分×2分の1

例えば、法定相続人が、配偶者、子1名と孫2名であった場合、各自の遺留分割合は次の通りです。

法定相続分
遺留分割合(法定相続分×2分の1)

配偶者
8分の4
16分の4

子
8分の2
16分の2

孫
8分の1
16分の1

孫
8分の1
16分の1

代襲相続の際の相続税の基礎控除と生命保険控除

相続税の計算では、基礎控除の枠と、生命保険控除の枠が、法定相続人の数で決まっていますが、代襲相続人はどのようにカウントするのか、簡単に見てみましょう。

①基礎控除枠への影響
基礎控除枠は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で算出されます。代襲者も法定相続人の1人としてカウントされます。
②生命保険控除枠への影響
生命保険は、「500万円×法定相続人の数」まで非課税です。代襲者も法定相続人の1人にカウントされます。

代襲相続人は、各自、法定相続人の1人としてカウントされます。そのため、代襲者が何人いても法定相続分は親のそれと変わりはありませんが、基礎控除額は増えます。例えば、祖父の遺産を亡くなった父の代わりに3人の孫が相続する時は、3人を加えた法定相続人の数をかけて基礎控除額を算出します。

代襲相続は数次相続とは異なる

代襲相続と数次相続はしばしば混同されがちですが、両者の概念は異なります。数次相続とはわかりやすく言いますと、ある相続(1次相続)が終わらないうちに相続をする予定だった人が亡くなり、新たな相続(2次相続)が発生した状態のことです。

例えば、祖母が亡くなりその子である父が財産を相続しましたが、父は遺産分割や各種名義変更手続きが終わる前に亡くなってしまいました。この場合、祖母が亡くなったことによる相続(1次相続)と、父が亡くなったことによる相続(2次相続)の計2つの相続が発生している状態となります。代襲相続の場合は、父が他界していて祖母が亡くなった時点で孫が相続人となりますが、数次相続では母(父の配偶者)と子に財産を相続する権利が生じます。

数次相続の要件

数次相続において法定相続人になれるのは、通常の相続と同じです。
・配偶者
・第1順位:子、代襲相続人である孫
・第2順位:父母や祖父母
・第3順位:兄弟姉妹、代襲相続人である甥姪

数次相続の際の法定相続分と遺産分割協議

数次相続の法定相続分は、通常の相続と同じですが、やや複雑になります。設例で見てみましょう。
以下の図表をご覧ください。

令和3年に父が亡くなりましたが、その遺産分割、相続手続きを行わずに、父の相続人の一人である長女が令和4年に亡くなりました。
まず、父が亡くなった時点においては、長女は存命であり、父の法定相続人及び法定相続分は、母2分の1、長男4分の1、長女4分の1となります。
この状態で長女がなくなったことで、長女の持っていた父の遺産に対する法定相続分が、長女の法定相続人である、夫と孫Aに移ります。
そうすると、父の相続人は誰で、その法定相続分はどうなるかというと、次の通りとなります。
母 8分の4、長男 8分の2、夫 8分の1、孫A 8分の1。
遺産分割協議は、相続人全員で行わなければなりませんから、父の相続財産の遺産分割協議は、母、長男、夫、孫Aで行うこととなります。

ただ、父の遺産分割協議が整う前に、夫と孫Aが、長女を被相続人とする遺産分割協議において、父の遺産に対する法定相続分を夫が全て取得するとした場合には、孫Aの有していた父の相続財産に対する8分の1の権利は夫に帰属することとなり、父の相続に対する遺産分割協議は、母、長男、夫の3名で行うこととなります。長女の相続財産には、長女個人の財産と、父の遺産に対する相続権という財産があり、父の遺産に対する相続権を有する人が、父の相続に対する遺産分割協議を行うこととなるため、

相続税計算における数次相続の際の法定相続人の数

相続税計算において、法定相続人の数は、基礎控除や生命保険控除の金額に影響するため、とても気になることころです。数次相続において、法定相続人は何人して計算するかをご説明致します。
結論から言いますと、法定相続人の数は、相続が発生した時点をもって確定することとなります。
そのため、先の数次相続の設例における、父を被相続人とする法定相続人の数は、3名のみで、夫と孫Aは法定相続人の数には含みません。
なお、数次相続の際には、一定の要件の下、控除を受けることが出来ます。これを相次相続控除と言います。
相次相続控除とは、1次相続(設例の父の相続)と2次相続(設例の長女の相続)の相続人になった人を対象とした制度で、税金の二重払いを回避することを目的に、2次相続の際に一定の金額を差し引くことができます。
相次相続控除を利用するための要件は以下の通りです。
① 1次相続と2次相続の相続人であること
② 1次相続の時に相続税を支払っていること
③ 1次相続から2次相続までの期間が10年以内であること

設例に当てはめると、
・父の死亡が令和3年で長女の死亡が令和4年 ⇒ 上記③の要件を満たす
・夫と孫Aが、父と長女両方の相続人となる ⇒ 上記①の要件を満たす
残るは、父の相続の際に、相続税の支払いが発生し、これを収めていれば、相次相続控除の適用を受けることが可能となります

数次相続における相続放棄

数次相続における相続放棄は、通常の相続放棄とやや異なる点があります。1次相続と2次相続の相続人になった場合に考えられる相続放棄のパターンは、以下のとおりです。
①両方の相続を放棄する
②1次相続は引き継いで2次相続を放棄する
③1次相続を放棄して、2次相続を引き継ぐ
この中でできないのは、②です。なぜなら、2次相続で放棄した時点で1次相続も放棄したとみなされるからです。なお、数次相続の熟慮期間は、1次相続・2次相続とも「相続したと知った日から3か月以内」です。

代襲相続と数次相続の際に必要な戸籍資料

戸籍は、代襲相続と数次相続の手続きに必要な書類の一つです。各相続においてどのような種類の戸籍が必要となるのでしょうか。ケース別に必要となる主な戸籍資料についてまとめました。

代襲相続人が甥や姪である場合に必要となる戸籍資料

戸籍資料名
入手先

故人が生まれてから亡くなるまでに作成された全ての戸籍
故人の最後の本籍地を管轄している市町村役場。生前に本籍を移した場合は、旧本籍地を管轄している市町村役場

被代襲者が生まれてから亡くなるまでに作成された全ての戸籍
上記に同じ

第2順位に属する全ての相続人の除籍謄本
故人の最後の本籍地を管轄している市町村役場

代襲相続人の戸籍謄本
本籍地のある市町村役場

代襲相続人が孫である場合に必要となる戸籍資料

戸籍資料名
入手先

故人が生まれてから亡くなるまでに作成された全ての戸籍
故人の最後の本籍地を管轄している市町村役場。生前に本籍を移した場合は、旧本籍地を管轄している市町村役場

被代襲者が生まれてから亡くなるまでに作成された全ての戸籍
上記に同じ

代襲相続人の戸籍謄本
本籍地のある市町村役場

数次相続の際の戸籍資料

戸籍資料名
入手先

1次相続の被相続人が生まれてから亡くなるまでに作成された全ての戸籍
故人の最後の本籍地を管轄している市町村役場。生前に本籍を移した場合は、旧本籍地を管轄している市町村役場

1次相続の相続人全員の戸籍謄本
本籍地のある市町村役場

2次相続の被相続人が生まれてから亡くなるまでに作成された全ての戸籍
故人の最後の本籍地を管轄している市町村役場。生前に本籍を移した場合は、旧本籍地を管轄している市町村役場

2次相続の相続人全員の戸籍謄本
本籍地のある市町村役場

代襲相続や数次相続の相続手続きは専門家へ。

代襲相続や数次相続の場合、通常の相続よりも手続きが複雑となりがちです。専門家に依頼することで、次のようなケースにおいては、自力でするよりも簡単に手続きを進めることができるでしょう。

代襲相続人が未成年者であるケース

代襲者が未成年の場合は、特別代理人を立てます。特別代理人になる条件は特になく、親族がなることも可能です。ただし、当然、他の相続人が特別代理人となることは出来ません。特別代理人には、司法書士等専門家を指定することも可能ですので、円滑に進めたい場合には、専門家を特別代理人とする形にされると良いでしょう。

司法書士等専門家を特別代理人にするには、
お願いしたい専門家を特別代理人の候補者として、特別代理人選任申立ての手続きを行います。最終的には、家庭裁判所の判断となりますが、何か特殊な問題がない限りは、そのまま認められているようです。

相続人同士の関係が疎遠なケース

相続人同士にあまり面識がなく関係が薄いケースでは、専門家に依頼して話し合いを進めてもらうとよいでしょう。遺産分割協議には、原則として相続人全員が参加します。関係が疎遠な相続人とは、話が噛み合わなかったり、感情的になったりしてうまく進まないことも珍しくありません。また、連絡がつかない相続人がいて協議ができないこともあるでしょう。専門家は相続人全員と連絡が取れるように働きかけたり、一人ひとりの言い分を聞いたりして依頼人にとってベストな遺産分割内容の提案に努めます。
なお、ここで言う専門家とは、司法書士又は弁護士を指します。両者の違いは、紛争が顕在化した場合に対応できるか否かです。連絡調整役として、円滑な遺産相続手続きを実現する役割であれば司法書士で足り、費用も弁護士と比べて安く済みますが、納得のいかない主張をしている相続人がいたり、自身の取り分をとにかく多くしたいといった場合には、弁護士でなければ対応が難しいでしょう。

相続財産が分からないケース

相続する財産評価を正確に行うことは、納得の行く遺産分割をするために不可欠です。けれども、故人と疎遠である相続人は、財産の内容が分からないことも多いでしょう。特に甥や姪は、故人の財産を確認する手段すらわからないと思うかもしれません。遺産分割協議は財産の把握が前提ですから、これがなければ、相続手続きは進みません。このような場合には、司法書士等専門家に依頼し、財産の調査や、財産を把握しているであろう他の相続人への連絡を任せてしまった方が良いケースと言えるでしょう。

まとめ

代襲相続について、「わかりやすく、簡単に。」をテーマに解説致しました。
代襲相続は、数次相続と混同されがちですが、これらは異なります。
ただ、いずれにおいても問題になりやすいのは、故人との関係が薄いことから、相続手続きが難航しやすいという点です。複雑でよく分からないからということで、放置してしまうと、相続登記の義務化により罰則が科せられたり、次の世代に、より複雑になった状態で残してしまったりと問題がございますので、早めに対応するようにしましょう。

司法書士 飯田 真司

<strong>飯田 真司</strong>

信託相続先生の司法書士飯田真司と申します。大学在学中はお笑い芸人を目指していたものの、挫折し、司法書士の道へと方向転換致しました。司法書士として頑張りつつも、たまに漫才イベントを企画しています。

専門分野・得意分野
家族信託、相続関連
資格
  • 司法書士(法人登録番号:11-00552、登録番号:6918)
  • 簡裁代理(認定番号:1401068)
所属団体名
東京司法書士会
所属事務所
司法書士法人クラフトライフ
所属事務所の所在地
東京都世田谷区用賀4丁目28番21号

活動実績・専門分野

財産の管理・承継に関するリスクマネジメントとその手続きを専門分野とする。司法書士の専門である法務だけでなく、税務、財産活用等多角的な視点による提案力が強み。大手保険代理店、医療法人、社会福祉協議会等、セミナーや勉強会実績多数。

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