家族信託はどんな場合に有効?活用事例と注意すべき点

家族信託(民事信託)は、信頼できる家族に財産の管理を任せる新しい仕組みです。高齢の親が元気なうちに自宅や預貯金などを子どもに託しておくことで、将来認知症などで判断能力が低下しても自分の意向に沿った財産管理が可能になります。本記事では、高齢の親を持つ50代の子世代に向けて、家族信託が有効に機能する主なケースと、その活用事例、さらに利用時の注意点についてやさしく丁寧に解説します。具体的なモデルケースとして甲野家(父・母・長男・長女・次女の5人家族)を例に挙げ、認知症対策トラブル防止に焦点を当てて説明していきます。専門的な内容も含まれますが、ポイントを押さえてわかりやすくまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

家族信託が有効に機能する主なケース(活用事例)

まずは、家族信託が効果を発揮する代表的なケースについて見ていきましょう。親の状況や家族構成によって、家族信託が有効となるシーンはさまざまです。ここでは認知症対策親の再婚や複雑な家族構成での遺産トラブル回避障がいのある子への財産承継と二次相続への備え収益不動産の管理・承継の円滑化という4つのケースを紹介します。それぞれ甲野家の事例を交えながら、家族信託を活用するメリットを具体的に見ていきましょう。

認知症対策が必要なケース(判断能力低下に備える)

高齢の親の判断能力低下(認知症など)に備えるケースは、家族信託の典型的な活用事例です。例えば甲野家では、80代のお父様(甲野太郎さん)の将来の認知症リスクに備え、長男が財産管理を引き受ける家族信託を検討しています。親が元気なうちに信託契約を結び、お父様自身を委託者兼受益者長男を受託者として、自宅や現金を信託しました。これによって将来もしお父様の判断能力が低下しても、長男がお父様の意思に従って生活費の支払い、不動産の売却・賃貸、預貯金の管理といった財産管理を柔軟に行えます。これは成年後見制度に比べて自由度が高く、口座凍結や資産の凍結を防ぐことができます。実際、親が認知症になると家族は預金を引き出せなくなったり、不動産を売れなくなったりすることがありますが、家族信託を活用すればそうした資産凍結のリスクに備えることができるのです。
家族信託は「認知症対策」の切り札とも言われ、近年大きな注目を集めています。甲野家の例でも、お父様が元気なうちに手続きを済ませたことで、将来にわたって家族が主体的かつ円滑に財産管理できる安心感を得られました。認知症による資産凍結を防ぎ、必要なときに必要な資金を家族が取り出して介護や医療に充てられる点が大きなメリットです。このように、親の判断能力低下に備える場合は家族信託が非常に有効であり、「もしものとき」のトラブル防止につながります。

親の再婚や複雑な家族構成で遺産分割トラブルを防ぎたいケース

親が再婚していたり、子ども同士が異なる両親を持つなど複雑な家族構成の場合、将来の遺産分割でトラブルが起こりやすくなります。例えば、甲野家のお父様が万一先立ち、お母様が後妻として残った場合を考えてみましょう。お母様には連れ子(甲野家の子どもたちにとって異父母兄弟)がいるケースでは、通常お母様が相続で取得した財産はお母様の子(連れ子)に渡ってしまう可能性があります。これは、遺言で「自宅は妻に、その後妻が亡くなったら長男に」と書くことは法律上できないためです。その結果、本来は前妻との子に渡したかった財産が、後妻の子に渡ってしまうという事態が生じ、先妻の子と後妻の子の間で深刻な対立を招く恐れがあります。
こうした再婚家庭の複雑な相続問題にこそ家族信託が有効です。家族信託では信託契約内で財産の承継先を柔軟に定めることができ、「受益者連続信託」という仕組みを使えば複数世代先まで資産の引き継ぎ先を決めておけます。先ほどの例で言えば、お父様が自宅を信託財産とし、お父様を委託者兼初代受益者、長男を受託者として契約を結びます。そして「お父様が亡くなったら妻(後妻)を第二受益者に、妻が亡くなったら信託を終了して自宅を長男(前妻の子)に帰属させる」と定めるのです。これにより、お父様の死後まず妻Bさんがお家に住み続け、その後Bさんが亡くなった時点で最終的に自宅は長男Cさんのものになる、という希望を生前に実現できます。遺言では実現が難しい「二段構えの資産承継」も、家族信託なら可能になるわけです。
家族信託を活用すれば、親の再婚による複雑な相続でも事前に資産の行き先を明確化でき、相続人同士の紛争を防ぐ効果が期待できます。ただし、一方の相続人に財産を多く承継させる内容の場合、他の相続人から遺留分侵害額請求(遺留分を侵害されたとして取り戻す請求)を受けるリスクは残ります。そのため、後述するように他の相続人への十分な説明や同意を得ておくことが大切です。いずれにせよ、親の再婚や複雑な家族構成で遺産分割トラブルを防ぎたい場合には、家族信託が有力な手段となります。

障がいのある子への財産承継や二次相続まで考慮したいケース

お子さんに重い障がい(知的障がい・精神障がいなど)があるご家庭では、「親亡き後」にその子の生活をどう支えるかが大きな心配事です。家族信託はこのような障がいのある子への財産承継にも有効に活用できます。甲野家で言えば、次女のゆかりさんが障がいを抱えている場合、お父様お母様は自分たちがいなくなった後もゆかりさんが困らないよう備える必要があります。家族信託を使えば、親が亡くなった後に自動的に障がいのある子が信託財産の利益を受け取れるようにしておくことが可能です。具体的には、信託開始時の受益者を親、第二受益者として障がいのある子を指定した信託契約を結んでおきます。こうすることで、親死亡時に遺産分割協議をしなくても障がいのある子が継続して財産から給付を受けられる仕組みになります。
さらに家族信託なら、二次相続(障がいのある子が亡くなった後の承継)についてもあらかじめ指定できます。例えば、「親が亡くなった後は障がいのある次女ゆかりさんを受益者とし、ゆかりさんが亡くなったら信託を終了して残余の財産を長男・長女で分配する」といった内容を信託契約で定めておくことができます。これにより、ゆかりさんが将来亡くなった際に、残った財産の行き先でもめることを防げます。実際、家族信託を利用すれば「親亡き後に誰が障がいのある子を経済的に支えるか」で家族が揉める可能性をなくすことができるとされています。また、信託契約によって障がいのあるお子さんの生活費等を代理で管理・給付できるため、その子自身に判断能力がなくても安心です。甲野家のケースでも、家族信託により次女ゆかりさんの将来の生活資金を安定的に管理し、さらに万一ゆかりさんが他界した後の遺産配分まで親の意思で決めておくことができました。
このように障がいのある子への財産承継や二次相続まで考慮したい場合、家族信託は非常に有効です。ただし、長期間にわたる信託運用になるため、受託者の選定や後継受託者の指定、専門家の関与など入念な計画が必要です。とはいえ、親として「自分亡き後」の不安を解消し、障がいのある子の生活を家族ぐるみで長期サポートできる点は大きな魅力と言えるでしょう。

親の保有する収益不動産の管理・承継を円滑に行いたいケース

親がアパートや賃貸マンションなど収益不動産を持っている場合、その管理や将来的な承継にも家族信託が役立ちます。高齢のオーナーが認知症になると賃貸経営が立ち行かなくなるリスクがありますが、事前に家族信託を組んでおけば安心です。甲野家のお父様は都内にアパートを一棟所有していますが、体力の衰えもあって管理が負担になってきました。そこで家族信託を利用し、お父様を委託者兼受益者、長女を受託者としてアパートを信託財産に設定します。こうすることで、仮にお父様が認知症になっても受託者となった長女が賃貸物件の管理や修繕、必要なら借り入れや売却まで適切なタイミングで行うことができるようになります。また、家族信託によって受託者である長女が単独で重要な判断を下せるため、仮にお父様とお母様が共有で持っていた不動産でも、後見人を立てずにスムーズな意思決定が可能になります。
収益不動産の承継面でも家族信託はメリットがあります。信託契約内で不動産の承継先(最終的に誰が受け取るか)を決めておけるため、遺言書がなくても信託財産である賃貸物件の分配を確定させることができます。甲野家の例では、信託契約で「お父様が亡くなったら受益権を母と子ども3人にそれぞれ○%ずつ継承させる」と定めておくことで、不動産の共有による揉め事を防ぎ、相続発生後も賃貸収入を各自が受け取れるようにしました。さらに、家族信託には倒産隔離機能といって、仮に受託者個人が経済的に破綻しても信託財産には影響が及ばない仕組みもあります。この点も不動産経営にとって安心材料です。
以上のように、親の保有する収益不動産の管理や承継を円滑に行いたい場合に家族信託は有効です。賃貸経営の現場では、オーナーが高齢化して意思判断ができなくなると口座凍結で家賃収入が受け取れなくなったり、老朽化物件の売却ができなくなったりする問題が起こり得ます。しかし家族信託を活用すれば、認知症になっても確実に家賃収入を受け取れ、必要に応じて不動産を売却できるなど柔軟な財産管理が可能になります。こうしたメリットから、不動産オーナーの生前対策として家族信託を選ぶケースは増えています。

家族信託を利用する際の注意点

家族信託は便利な制度ですが、利用にあたってはいくつか注意すべき点があります。信託を円滑かつ安全に運用するために、事前の準備や家族内の合意形成、法務・税務上の制約確認などが欠かせません。ここでは、家族信託を利用する際に特に注意したいポイントとして、他の相続人への事前調整信託財産にできる財産の制限信託運用中に起こり得るトラブル税務上の取扱いの4点を解説します。せっかくの有効な仕組みを「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、しっかりチェックしておきましょう。

他の相続人への説明・同意など事前調整の必要性

家族信託は法律上は委託者(親)と受託者(子など)が合意すれば設定できますが、他の相続人がいる場合は事前の説明と同意を得ておくことが重要です。信託によって特定の子が親の財産管理を担うことになると、他の兄弟姉妹が内容を理解していないと後々不信感を抱いたり、「自分だけ仲間外れにされた」と感じる恐れがあります。実際、家族信託の内容や運用を家族全員で共有しないと、不誤解や不満が生じてトラブルにつながりやすいとされています。甲野家でも、長男が受託者となって父の財産を任される際、長女・次女にもきちんと説明して了承を得ました。そうすることで、家族間の透明性を保ち、不信感や将来的な争いを未然に防ぐことができます。
特に、信託設定によって将来的に遺留分(法定相続人に保証された最低限の取り分)に影響が出る可能性がある場合は注意が必要です。他の相続人に無断で信託を組んでしまうと、後で「自分の遺留分が侵害された」として紛争になるケースも考えられます。家族会議を行い、信託の目的や内容について家族全員の理解と合意を得ておくことで、こうしたトラブルを防ぐことができます。家族信託は家族の協力あってこそ上手く機能する制度です。他の相続人への事前調整は手間に思えるかもしれませんが、信頼関係を損なわず安心して運用するための大切なプロセスと言えるでしょう。

信託財産の範囲・内容に関する制限(預貯金や年金は信託不可 等)

家族信託では基本的に金銭的価値のある財産なら何でも信託できるとされていますが、法律上信託できないもの実務上難しいものも存在します。代表的なものが年金受給権です。公的年金(国民年金や厚生年金)の受給権は各年金法で譲渡禁止と定められており、他人に譲り渡すこと(=信託で受託者に移すこと)もできません。そのため、年金そのものは信託財産に含めることができず、家族信託では扱えないのです。ただし、年金が振り込まれた後の現金であれば追加で信託することは可能なので、必要に応じて受給後にまとめて現金信託する方法がとられます(もっとも、委託者の判断能力低下後は追加信託の合意が困難になる点に注意が必要です)。
また、預貯金の取り扱いにも注意が必要です。法律上、銀行預金は「預金債権」という財産であり、多くの金融機関の規定で譲渡禁止特約が付いています。簡単に言うと、銀行の預金口座は名義人以外のものに勝手に名義変更できないのです。そのため、信託契約書に特定の預金口座を信託財産と記載しても、その契約書を持って銀行窓口に行くだけでは口座名義を受託者に変更したり、口座の中身を信託専用口座へ移し替えたりすることはできません。実務上は、信託契約後に親子で銀行へ行き、委託者の預金を一度現金化してから受託者名義の信託口口座へ預け入れる手続きなどが必要になります。甲野家でも、お父様の預金を信託する際には専用の信託口座を開設し、資金を移して管理する対応をとりました。このように、信託財産の範囲・内容には制限や手続上の工夫が要る場合があることを知っておきましょう。他にも、生命保険契約の扱いや農地の信託など、法令や業界慣行上ハードルの高い財産もありますので、事前に専門家に確認することをおすすめします。

信託の運用管理中に起こり得るトラブル(受託者の不正など)

家族信託は契約を結んで終わりではなく、その後の運用管理にも注意が必要です。中でも気を付けたいのが受託者に関するトラブルです。受託者は信託財産を管理・処分する大きな権限を与えられる一方で、信託目的に沿った適正な管理を行う義務も負います。しかし、実際には受託者が契約に反して権限を乱用し、財産を私的に流用してしまうような不正行為のリスクもゼロではありません。例えば、受託者となった子どもが親の預金を勝手に引き出して使い込んでしまったり、信託財産の帳簿を開示しないといったケースです。このような場合、受益者(多くは委託者本人や親亡き後は相続人)は受託者の解任を裁判所に請求することも可能ですが、そもそも家族内で裁判沙汰になるのは避けたいところでしょう。
受託者の不正や信託運用上のトラブルを未然に防ぐためには、以下の対策が有効です。まず第一に、「信頼できる人」を受託者に選任することが大前提です。家族信託という制度の名前の通り、基本は家族の信頼関係に基づいて運用されるものです。甲野家でも、誠実で信頼のおける長男が受託者に選ばれています。次に、信託監督人受益者代理人の設置を検討することも有効です。信託監督人とは受託者の業務を監査して不正を防止する役割の人で、受益者代理人は受益者に代わって受託者の行為をチェックする人です。これらは専門家だけでなく兄弟姉妹など親族が就任することも可能で、受託者の業務にチェック機能を働かせて権限濫用を防ぐ効果があります。実際、「信託監督人や受益者代理人を設置してトラブルを未然に防ぎましょう。もちろん大前提として受託者には信頼できる家族を選ぶことが重要です」と専門家も指摘しています。家族信託を安全に運用するため、こうした仕組みも積極的に活用すると良いでしょう。
さらに、受託者が高齢の親の場合などは受託者自身の死亡や病気による問題も考えられます。受託者が亡くなったり職務不能になった場合に備えて、契約時に後継の受託者を定めておくことも大切です。信託契約の有効性維持のため、受託者が不在とならないよう条項を整備しておきましょう。このように、信託の運用管理中に起こり得るトラブルは事前の対策でかなり防ぐことができます。信託設定後も定期的に家族で情報共有するなど、透明性の高い運用を心掛けましょう。

税務上の取扱い(信託による税負担の変化に留意)

家族信託を利用する際、税金面の扱いについても理解しておく必要があります。誤解されがちですが、家族信託自体には節税効果はなく、むしろ内容によっては思わぬ税負担が発生することもあります。まず、信託を開始するときの課税関係ですが、委託者=受益者(自益信託)の形であれば財産の実質的権利は委託者に留まるため、贈与税や不動産取得税は原則発生しません。信託はあくまで財産の管理方法を変えただけとみなされ、受託者への名義変更も課税対象にならないからです。例えば甲野家で自宅不動産を信託した際も、委託者であるお父様が受益権を持ち続ける形にしたため贈与税などはかかりませんでした。一方で、信託の設計によっては各種税金が発生する可能性があります。例えば受益者を誰か別の人にした場合、信託設定時に経済的利益の移転があったとみなされ贈与税がかかるケースもあり得ます(一般にはこうした設計は避けますが、特殊なケースでは起こり得ます)。
信託運用中の税金にも注意が必要です。信託財産から生じる収益(賃貸収入や利息など)は原則として受益者の所得となるため、受益者が確定申告等で所得税を納める必要があります。例えば賃貸不動産を信託して親が受益者の場合、家賃収入は引き続き親の所得として課税され、受託者(子)は収入自体は得ません。ただし、信託を利用すると通常の不動産所得で認められている損益通算(不動産の赤字を他の所得と相殺すること)の適用が制限される場合があります。これは過去に家族信託を使った節税スキームが流行したことへの対策で、「信託不動産から生じる損失は他の所得と通算できない」という税制上のルールが導入されているためです。したがって、たとえば賃貸物件の減価償却などで赤字計上しても、他の給与所得とぶつけて税金を減らすことはできない点に留意しましょう。
信託終了時の課税も見逃せません。信託が委託者の死亡で終わり財産が次の受益者に移る場合、その人が取得する財産には基本的に相続税が課されます。もし信託契約で定めた終了事由が委託者の生前に起こり、受益権が第三者に移転するような場合には贈与税や譲渡所得税が課される可能性もありますt。信託を活用しても相続税自体を節税できるわけではないので、「信託を設定すれば相続税対策になる」という誤解はしないようにしましょう。
以上のように、家族信託における税務上の取扱いは少々複雑です。信託による税負担の変化について事前に専門家とシミュレーションし、最適な形で設計することが大切です。幸い、家族信託の開始時にかかる税金は不動産の登録免許税(名義変更登記に伴う税)くらいで、それほど大きなコストにはなりません。しかし信託期間中・終了時まで見据えて、税理士等とも相談の上で計画を立てると安心でしょう。

まとめ(家族信託を検討する際の事例から学ぶポイント)

家族信託は、高齢の親の財産管理や相続対策として非常に柔軟で有用な制度です。認知症対策では、親が判断力を失っても資産凍結を防ぎ、家族がスムーズに財産管理できるメリットがありました。親の再婚や複雑な家族構成では、受益者連続信託により複数世代先まで資産承継を設計することで、遺産分割の争いを防ぐ手段となりました。障がいのある子のいるケースでは、「親亡き後」を見据えて財産を長期管理し、二次相続まで備えることができました。収益不動産の管理・承継でも、認知症や相続時のトラブルなく安定した運用を続けられる利点が確認できました。それぞれ甲野家の事例を通して、家族信託がどんな場合に有効かイメージいただけたのではないでしょうか。
一方で、家族信託には事前の家族間調整法務・税務上の注意点も伴います。他の相続人への十分な説明・同意を得ておくこと、信託できない財産や手続上の制約を把握しておくこと、受託者の選任や監督体制を整えてトラブル防止策を講じること、そして税金面での影響を確認することが重要です。これらのポイントを踏まえて準備すれば、「家族信託を利用して良かった」と思える効果を最大限に引き出せるでしょう。
家族信託はまだ比較的新しい制度であり、不安や疑問もあるかもしれません。しかし、信託専門の司法書士や弁護士など専門家に相談しながら進めることで、ご家族に合ったオーダーメイドの設計が可能です。大切なのは、親御さんが元気なうちに家族でしっかり話し合い、将来の財産管理と承継について共通理解を持つことです。そうすれば、いざというときに慌てることなく、安心して親御さんの財産を守り活用していくことができます。
高齢化が進む中、家族信託は認知症対策・相続対策の心強い選択肢となっています。本記事でご紹介したケースや注意点を踏まえ、ご家庭の状況に応じて家族信託の活用を検討してみてください。専門性の高い内容ではありますが、家族みんなが笑顔で将来を迎えるための知恵として、きっとお役に立つことでしょう。