家族信託は、銀行、司法書士、弁護士、どこに依頼するべき?

家族信託は、銀行、司法書士、弁護士、どこに相談するべき?

家族信託,銀行

家族信託の相談はどこにするべきか

認知症や事故、病気に伴う資産凍結問題の対策として有用な家族信託。ここ数年で、家族信託に関する特集がテレビで放映されたり、雑誌や広告でも見かける機会が増えてきています。実際に、ご利用されている方も年々増えていて、富裕層に限らず、一般家庭世帯のご利用にまで広がりつつあります。
ただ、ご利用者の拡大と共に、サービス提供を行う事業者も増えてきており、その事業者の業種も様々です。
そこで、本記事では、家族信託を相談するとしたらどこにするべきかをテーマに解説致します。

前提として、家族信託のサービスについて知ろう

相談先を考えるに当たり、家族信託というサービスが、どのような要素で成り立っているかを知ることが大切です。
家族信託として提供されているサービスは、大きく分けて、次の4つの構成に分類できます。それぞれご説明致します。

コンサルティング

コンサルティングには、二つのパターンがございます。価値あるコンサルティングと、建付けとしてのコンサルティングの二つです。
小見出し1 コンサルティングそのものがサービス
本当の意味でのコンサルティングです。ただ顧客の要望に従った家族信託を提供するのではなく、本人と配偶者の生活保障(ライフプランニング)、財産の活用、円滑・円満な財産承継、相続税対策と、相互に影響しあう目的につき、最適化した施策を検討、全体スキームを構築する作業です。
コンサルティングというと、必要なのは資産家であるイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、自宅で年金暮らしといったごく一般的なご家庭においても、とても重要です。資産家と異なるのは、税対策や財産拡大よりも、生活保障と円滑な財産承継に力点が置かれることにあります。
なお、こうした高度なコンサルティングサービスは、提供できる事業者が限られます。

小見出し2 建付けとしてのコンサルティング
司法書士や弁護士ではない、株式会社等民間企業が家族信託サービスを提供するための、建付けとしてのコンサルティングです。
家族信託の手続きには、法律相談や信託契約書文案作成、登記手続きが必要となりますが、これらは資格業務で、無資格者が報酬を得てこれらの業務を行うことは法律で禁じられています。
そのため、株式会社等民間企業は、弁護士や司法書士の提供する信託契約書草案作成業務に当然に含まれる、「どのような家族信託契約とするか」の検討部分を分離し、コンサルティング業務の建付けで提供しており、法律相談や契約書文案作成、登記手続きは、外部の専門家が行う方法を取っています。

信託契約書草案作成

家族信託の契約書作成業務です。草案作成としているのは、家族信託契約は、金融機関等対外的な有効性(事実上の)の問題から、公正証書にて行うのが通常であり、公正証書を作成できるのは公証役場であることから、草案の作成というのが正しい表現となります。
これを業務として行えるのは、弁護士、司法書士、行政書士に限定されます。

登記手続き

家族信託において、不動産を信託財産とした場合には、その不動産を受託者名義に変更する登記手続きが必要となります。
この登記手続きを業務として行えるのは、弁護士と司法書士に限定されます。ただ、弁護士は、事実上、登記業務は行っていないことから、司法書士のみが対応しているのが実態です。

事後支援

家族信託契約後の、適切かつ安全な信託運用を支援するサービスです。
信託監督人等の形で提供されています。
なお、ほとんどのサービス提供者は、家族信託の組成のみで、事後支援のサービス提供がありません。

家族信託サービスの構成大分類_

銀行、司法書士等、事業者ごとの特徴

大手銀行、信託銀行は家族信託の対応をしていない

まず、大手銀行、信託銀行(以下、大手銀行等)は、家族信託自体をサービスとして提供していないため、相談しても家族信託は出来ません。大手銀行等の場合、信託銀行が、信託の受託者を事業として行う免許を持っており、信託の仕組みを事業として行っています。
何らの免許を持たずとも信託の仕組みを利用できてしまい、そこに自社が介在することのない家族信託は、自社の事業と競合してしまうことが理由の一つとして推測できます。
そのため、どこに相談するべきかという本記事のテーマにおいては、大手銀行等は入らないこととなります。
一方で、高度なコンサルティング能力を大手銀行、信託銀行は有しており、かつ、グループ企業を含めた、金融商品の販売(代理含む)や不動産仲介にも対応している、いわば財産関連サービスにおけるデパートです。
報酬額が高額な上、大企業にありがちな担当の良し悪しと頻繁な担当変更の問題はあるものの、資産家の方であれば、大手銀行、信託銀行への相談は選択肢として持たれて良いかと思います。家族信託に対応していなくても、信託銀行等を受託者とする従来の信託はございますので。

弁護士への家族信託相談

法律資格の最高峰であり、紛争事案に制限なく介入可能な唯一無二の存在である弁護士ですが、家族信託に精通する弁護士は稀です。
とはいえ、基本能力が高いので、経験がない先生でも、依頼すれば無難な成果は得られるかと思います。また、弁護士は、資格の性質上、職務規定がとても厳しく、一つ一つの仕事に首が懸かってくることが、相談先として選択するに足る安心材料として挙げられます。
ただ、問題が二点ございます。
一つは、登記手続きが司法書士への外注になることです。そのため、弁護士に家族信託を依頼した場合には、別途司法書士への依頼も必要となり、報酬の支払いも2つとなります。
もう一つが、法務視点に偏り、財産活用や相続税対策、ライフプランといった視点に欠け、総合的なコンサルティング能力を欠くことが多いことです。弁護士は法務の最高峰であり、こうした能力を備えている必要性はないのですが、家族信託については、法務だけでは、高度なサービス提供は困難となります。

司法書士の家族信託相談

司法書士は、士業の中で最も家族信託に取り組んでいる割合が多い業種です。特徴となるのが、登記手続きを行える点で、これにより、家族信託サービスについては、他の業種と異なり単独で行うことが可能です。
家族信託を利用するに当たり、複数の業種に依頼しなければならないという手間が省け、また、一般論としては、報酬の支払先が単一にまとまることで、支払総額も比較的安くなります。
司法書士においても、弁護士と同様に、資格の性質上、厳しい職務規定があることから、相談先として選択するに足る安心があります。
一方で、問題点が二つございます。
一つは、弁護士ほどの基本能力がなく、多くの司法書士は、登記業務に偏っていて、契約書作成業務に不慣れなところがあり、家族信託に精通していない司法書士が信託契約書を作成すると、その出来はかなり酷いものになることです。(実際に幾つかの事例を拝見しております。)
もう一つは、弁護士のケースと同様で、コンサルティング能力を有していない司法書士がほとんどであることです。弁護士のケースと内容は同じですので、こちらでは割愛致します。

その他民間企業への家族信託相談

一部の地銀や信用金庫、その他、不動産会社を背景とした企業や、保険会社等を背景とした企業がありますが、これといったメリットが見たらないというのが筆者の感想です。
いずれの企業においても、自社でサービスを提供していると言っても、契約書作成や登記業務を行うことが出来ないため、弁護士か司法書士又はその両方へ外注することにより処理がされることとなります。そのため、結局、依頼先と支払先は多くなってしまい、WEBサイトや広告には安い金額の記載がされていても、弁護士や司法書士報酬を合算すると、特に安いわけではなかったりします。
また、危惧される問題として、地銀と信用金庫は除きますが、家族信託サービス提供に当たっての監督官庁はなく、規制が全くないことがあります。家族信託は、財産の管理と承継を規定するとても重いサービスで、悪用も容易に出来てしまうことから、サービス提供者には高度な能力と倫理が必要と考えますが、こうした担保が一切ないのです。
不安材料ばかりを記載してしまいましたが、全ての企業が、相談先としてメリットのない、いわば単なる仲介屋というわけではありません。
筆者が知る範囲においても、代表一人の小さな企業ですが、信託会社でのキャリアを経て独立し、家族信託や財産承継のコンサルティングを提供している企業があります。この企業の持つ、コンサルティング能力は非常に高く、家族信託の前提として、総合的なコンサルティングを受けたい場合には、利用する価値が十分にあります。

章まとめ

家族信託サービス提供する事業者の業種別特徴等をご案内させて頂きました。
筆者が司法書士であることから、お手盛りに思われてしまう感は否めませんが、客観的に見て、相談先の業種を選ぶとすれば、司法書士がベストかと思います。家族信託の構築作業を単独で行える唯一の業種であり、資格の性質上、下手なことはできない安心があるためです。

家族信託を相談する司法書士の選び方

司法書士であればどこでも大丈夫なわけではなく、家族信託に精通する司法書士を選定する必要があります。
最終的には料金や面談時の印象で決めることになるかと思いますが、面談に至るまでの選定方法について、解説致します。選定のポイントとして挙げられるのは、次の3つです。

コンサルティング能力の有無

また、家族信託は、財産の管理や運用と財産承継の取り決めを行う仕組みですから、財産の活用や相続税を含めた財産承継についても検討が必要で、具体的には、次の4つの要素を統合、最適化した全体スキームの設計が重要となります。
本人と配偶者の生活保障(ライフプランニング)
円滑、円満な財産承継
財産活用(ご高齢の方の場合は主に不動産)
相続税対策
こうした能力を有しているか否かが、より良い司法書士の選択の基準と考えます。
こうした能力を有している司法書士であれば、WEBサイト上に記載があるはずですので、WEBサイトを確認してみましょう。

事後支援

家族信託は、これを利用する当事者にとっては、作って終わりではなく、作ってからがスタートとなります。
受託者には、信託法上様々な義務が課されており、受託者は、信託法及び信託契約に従って財産管理をしていくこととなります。
受託者の日常業務としては、受益者への金銭給付等の他に会計業務があり、具体的には、記帳や会計資料作成、必要に応じて税務署への届出作成があります。また、受託者の業務とは言えないのですが、家族信託に関する新たな判例や税務通達等をモニタリングしておく必要があります。これは、家族信託が新たな仕組みであることから、契約書内容の「正解」が、契約締結時点とそれから5年後、10年後では異なってくる可能性があるためです。端的には、契約書のメンテナンス作業が必要ということです。
これらの業務・作業は、法律の専門家ではない個人の方が行っていくのは大変で、家族信託の適切かつ安全な運用をしていくには、専門家による支援が必要になるでしょう。
こうした背景を理解し、信託終了まで責任をもって対応することを考えると、司法書士側としては、事後支援サービスを構築することとなります。事後支援サービスを構築しているということは、ある程度の家族信託への理解があると捉えられる根拠にもなりますので、WEBサイト上で、事後支援サービスを提供しているかの確認をしてみましょう。
なお、事後支援サービスは、いつでもご相談頂けますといったものでは意味がなく、司法書士側に一定の責任を持たせる必要があります。具体的には、信託監督人の対応が挙げられます。

地域密着

最後に、司法書士の事務所の場所がどこかです。
ご自身がお住まいの最低行政区画単位のエリアで、司法書士を探されることをお勧めします。事後の支援を含むと、かなり長期的な付き合いとなりますので、物理的な距離が近い方が都合良いためです。
なお、ZOOM等オンラインでのコミュニケーションで十分という方(委託者様含め)であれば、物理的な距離は気にせずに選択しても良いかと思います。

家族信託のご相談は信託相続先生へ

銀行や司法書士といった、家族信託の相談先について解説をさせて頂きました。
家族信託は、まだ新しい仕組みであるため、どこに依頼するかによって、結果が変わってきます。失敗・後悔しない家族信託をご利用いただけるよう、本記事がご参考となれば幸いです。
最後に、私たち信託相続先生のサービスについて、簡単にご案内をさせていただきます。初回のご相談は無料ですので、家族信託について詳しく知りたい等お気軽にご利用くださいませ。

信託相続先生とは

一般家庭世帯においては、富裕層に行われているような、弁護士や税理士、銀行等による財産に係る専門的な助言を受ける機会が少なく、問題が生じてから対応されるケースが多いのが現状です。
一般家庭世帯にこそ、良質な法務・税務を中心とした、財産の管理・活用・承継に係る総合サービスを届けたい。私達信託相続先生は、こうした想いを共有する専門家によって構築された、複数の専門事業者による共同プロジェクトブランドです。

特徴1 ~一般家庭も安心の料金体系~

私たちの家族信託サービスは、複数の司法書士がこれまでに培ったノウハウや知見を集約し、効率化、オペレーション共有することで、業界相場とは一線を画す、一般家庭世帯が安心してご利用いただける料金体系を実現しております。

特徴2~相続や財産活用にも強い総合支援~

家族信託は、財産の管理から相続に至るまでの取り決めを行う仕組みであるため、生活保障(ライフプランニング)、財産活用、円滑・円満な財産承継、相続税といった多角的な視点が極めて重要で、例えば、法務の視点のみで家族信託をしてしまうと、財産の活用が出来なかったり、税対策が出来ていなかったりと、後悔することになりかねません。
この点、信託相続先生では、司法書士を中心としたコンサルティングチームで総合的なサービスをワンストップで提供させて頂いておりますので、安心してお任せいただけます。

特徴~司法書士による直接対応~

家族信託サービスは、国家資格ではない、○○コーディネーターや○○信託士といった民間資格が乱立していて、きちんとしたバックボーンのない事業者が多数存在します。
この点、信託相続先生では、国家資格者である司法書士が中心となり、家族信託サービスを提供させて頂いておりますので、安心して高度なサービスをご利用いただけます。

特徴4~徹底した事後支援とWEB会計システム~

一般的な家族信託サービスは、作って終わりで、その後の支援がされません。このような状況が、司法書士の業界でも問題視されていて、近い将来、家族信託に起因するトラブルが多々生じてくる可能性があります。
私たち信託相続先生では、信託監督人という形で、事後の支援を徹底しており、信託が終了するまで、責任をもってご支援を継続させて頂いております。
また、手間の掛かる受託者の会計関連業務を支援する独自のWEB会計システムを構築しており、これをご利用頂くことで、会計資料や税務署への届出書類が自動作成されるため、受託者の負担が少なく済みます。

司法書士 飯田 真司

<strong>飯田 真司</strong>

信託相続先生の司法書士飯田真司と申します。大学在学中はお笑い芸人を目指していたものの、挫折し、司法書士の道へと方向転換致しました。司法書士として頑張りつつも、たまに漫才イベントを企画しています。

専門分野・得意分野
家族信託、相続関連
資格
  • 司法書士(法人登録番号:11-00552、登録番号:6918)
  • 簡裁代理(認定番号:1401068)
所属団体名
東京司法書士会
所属事務所
司法書士法人クラフトライフ
所属事務所の所在地
東京都世田谷区用賀4丁目28番21号

活動実績・専門分野

財産の管理・承継に関するリスクマネジメントとその手続きを専門分野とする。司法書士の専門である法務だけでなく、税務、財産活用等多角的な視点による提案力が強み。大手保険代理店、医療法人、社会福祉協議会等、セミナーや勉強会実績多数。

  • 相続登記
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  • 相続税
  • 不動産活用

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私たちは、司法書士と税理士を中心とする、相続や家族信託のプロフェッショナルです。「何をすればいいか分からない」といった段階からご相談頂けますので、お気軽にご相談下さい。

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